問題作成裏話２

週１は引っ張り過ぎかなーということで、週２で更新していきます。まあもうすでにほとんど書きあがっているのですが、読み返すたびに書き忘れてたことが出てくるので、期限を決めないと書き終わらないわけですｗ

今日は問１の話。タイトルが微妙に違ったかも。裏話というか、問題作成の各段階で何を考えていたかって感じの文章です。ReTAの問題を作ろうと考えている人には参考になるかなと。



問１　ピラミッド攻略系問題（逃げる禁止）

ピラミッドを攻略したとみなせるのはまほうのカギ入手とイシス着の2つがありますが、まほうのカギを取った後にイシスに着く前に全滅したのでは攻略したとは言えないので、ピラミッド攻略後の夜のイシス着を表すクリア条件が必要になります。イシスで主に行うのは夜の城でのアイテム回収なので、何かクリア条件らしいアイテムの回収が相応しいでしょう。イシスの代表的なアイテムとしては星降る腕輪がありますが、こちらはピラミッド攻略前に取れてしまうので、ここは黄金のティアラなどの宝物庫のアイテムか、女王にもらえるいのりの指輪が適切です。今回はいのりの指輪を採用して、クリア条件がまず確定しました。

さて、前回の更新で書いた通り、冒険の書作成からでもクリアまで1hは切れるのですが、このままだといくつか問題があります。

１、みんな同じような戦略になる→エンカ運ゲーになる、プレイヤーの画面がほぼ同じになる
２、不可能というわけではないものも、主に勇者のHPがちょっときつい→運ゲー感が増す
３、制限時間は1hくらいまでが目途なので、ギリギリすぎてロスが許されない問題になってしまう

画面が同じというのは、観戦側としては全員違うことをやっている方が面白いかなという配慮の問題です。これらの問題を解決する必要があります。
３の制限時間の問題を解決するには、少なくともスタート位置をずらす必要があります。スタート位置をずらすなら、勇者は怠け者では無くタフガイにすることが可能なので、自然に２のHPの問題は解決しました。問題はどこまでずらすかです。この問題のポイントはアッサラーム以降の敵との戦闘なのでロマリアくらいまでずらすことは可能ですが、とげの鞭の回収を考えるとアリアハン大陸のちいさなメダルが必要となるので、極力スタート位置はずらさない方が望ましいです。仲間が作成済みのところまでずらすだけでも5minほど余裕ができるので、とりあえずここまでずらしました。この次のポイントまでずらそうと思うと盗賊のカギを入手するくらいまでずらす必要があるので、これできついようなら制限時間を65minにするなどして対応することになりますが、結果的にはこのくらいで適切でした。
後は１のプレイヤー毎に違う戦略になるような調整ですが、作成済みとする仲間に色々な仲間を準備しておけば採用される仲間が皆異なることになるので、見た目の問題も解決です。

どのような仲間を作るかですが、とりあえずHPが無いと話にならないので、全職タフガイを用意すればよいだろうこと、また一応性別差で能力と装備の違いがあり、同じ職の仲間を複数使いたいかもしれないことから、男女両方を1人ずつタフガイを作ることが決定します。豪傑も混ぜるかどうか少し考えたのですが、登録人数の都合上、豪傑を準備できる職とできない職が出てしまうので、全員タフガイのみで統一しました。
この段階で僕がSFCで全員を普通のタフガイ程度の能力の仲間を作って試したところ、十分安定を取っても全滅さえ無ければ40-45minくらいの間に収まることがわかりました。この時のパーティは当日のデータにはいた力の強い仲間がいないので、勇戦僧魔です。
このデストデータと同じデータを本番用としても問題にはなりますが、このままだと皆僕と同じメンバーになりそうなことが目に見えていたので、この枠に入らない武道家、盗賊、商人を活かすために、中断セーブを活かして超強化すれば採用候補が多くなると考え、この3職についてはただのタフガイではなく、力も高くすることにしました。これはSFC版では作るのが非常に大変なのですが、Wii版なら中断セーブで簡単に種吟味ができるので、Wii版を使用するからこその調整です。この問題では利用していませんが、すごろくを使ってステータスを下げるのも、Wii版でないとものすごい手間になりますが、中断セーブを使えば面倒ではあるものも十分できる範囲に収まります。

最後に、操作ミスなどで誤って逃げてしまった場合の対処を決める必要があります。意図的に逃げたならまだしも、普段の感覚で反射的に逃げてしまった場合でも失格では重すぎるので、適当なペナルティを設定することになりました。
案としては+5minと+10minの2通りがあり、+5minなら戦略的にペナルティを許容して逃げる選択がありえます。イシス着直前や魔法のカギのスイッチを押す途中で全滅した場合、再突入でも逃げずに戦闘をこなしながら進むことを考えると+5minのほうが有利になるでしょう。これはこれで駆け引きとして面白かったのですが、あまりやりすぎると、誰がリードしているのかわかりにくくなる、ルール違反した人が勝つと納得しずらい、などの問題があったため、逃げた方が不利である程度のペナルティとして+10minとなりました。複数回逃げたら失格にするかどうかという話も考えましたが、この場合ペナルティ込みで60minを切るのは非常に難しいため、問題は無さそうだったためこのままにしました。

これで問題は完成です。この問題のポイントは

１、アッサラーム以降でも戦えるだけの攻撃力の入手
２、高守備力モンスターに対応するための呪文攻撃力の入手

の両方を満たす必要があることに気づけるかどうかでした。RTAで重視される守備力については、タフガイの影響でそれなりにHPがあり、また多くの戦闘をこなすことで自然にレベルも上がりHPが伸びるので、RTAでもよく見るような皮の鎧や毛皮のフードなどを中心に買い揃えればなんとかなります。

１を満たすためには武器を手に入れる必要がありますが、金策の都合上、鉄の槍クラス以上の強力な武器を２つ以上買うことは困難です。これに気づくためには雑魚戦で得られるゴールドの見積もりを考える必要がありますが、序盤の敵は
経験値:ゴールド=2-3:1
程度の関係を満たすので、経験値は分配されることを考えると、戦闘後に表示される経験値とゴールドの関係は
2.5/4:1=1:1.6
程度です。通常のRTAでのカンダタ1撃破の時点で800exp程度ですから、シャンパーニの塔の経験値とノアニールまでの戦闘の経験値が相殺、カンダタの経験値とアッサラーム以降の戦闘の経験値が相殺とみなせば、得られる雑魚戦でのゴールドは1300ゴールド程度だろうと見積もれます。換金アイテムがあるといっても消耗品や防具も必要ですし、武器を買うタイミングは当然クリアよりもかなり前ですから、これでは武器は1個買うのが精いっぱいです。
購入以外の方法で手に入る強力な武器は、とげのむち、すごろく場のブーメラン＆鋼の剣、しかないため、すごろく運にかけない限りは物理アタッカーは２人までが基本となります。複数の武器を買うなら、防具は完全に諦めるくらいの覚悟が必要になります。

２を満たす方法は僧侶と魔法使いを加入させる、特に必ず魔法使いを１人は使うことしか方法はありません。

これらを満たすパーティは
勇者、魔法使い、戦士 or 武闘家 or 商人 or 盗賊、僧侶 or 魔法使い
の全4*2=8通りです。この8通りの中に優劣をつけるのはかなり難しく、各構成ごとに少なくとも10周はやってみてタイムを計らないと断言することは困難でしょう。

この問題の欠点は地獄のはさみ＋キャットフライのエンカウントでマホトーンを使われてヒャドを封じられると、事実上の詰みと言えてしまう点です。聖水で対抗できないか調査は（くねくねが）しましたが、聖水のダメージはニフラム耐性依存のようで、このエンカウントには効果がありませんでした。一応毒針や武闘家の会心の一撃のチャンスを残すことは可能ですが、対策と呼ぶにはあまりにも低確率な事象なので、これなら詰みませんとは言えません。ここでも対処可能な戦術があると言えれば問題のクオリティがワンランク上になったので、これは残念なところでした。
ただ、想定解で全滅0程度の運なら、上でも書いた通り十分安定を取っても40-45min程度になるので、そこから15-20minあれば2,3回くらいは全滅が許される時間設定です。この組み合わせとエンカウントする確率はそうは高くないので、クリア自体がこのエンカウントを引くかどうかに左右されるというほどではありません。

気持ちよく全員クリアして開始する問題のつもりだったので、ここで全員リタイヤとなったのは予想外でした。力も高くした仲間はアタッカーの選択肢を増やすためでしたが、これが難易度を上げていたのかもしれません。いなければ全員勇戦僧（魔）魔としたのではないでしょうか。
一番惜しかったのはユーリルさんで、とげのむちや鉄の槍を買う構想は正解です。ちいさなメダル周りのミスさえなければクリア可能でした。いざないの洞窟前までは戦士を使い、ここから僧侶に変えて序盤の打点を稼ぐのもうまいところでした。
ナナカさんはカザーブまでは順調に見えたのですが、とげのむちを取らず、さらにここでうろこの盾を買ってしまったため、打点を軽視しすぎていたのが敗因でしょう。ちいさなメダルは数枚は持っていた気がするので、ロマリア大陸に入ってからでも取りやすいメダルを回収し、うろこの盾ではなく鉄の槍でも買えていればクリア可能でした。
Maruさんとらりさんは魔法使いを使っていなかったため、これでは地獄のハサミどころかさまよう鎧や軍隊ガニすら厳しい相手です。魔法使い抜きでは残念ですがノーチャンスでしょう。

名前ネタは逃げてはいけないというのがエヴァに出てくるらしいのでそのネタなんですが、僕はエヴァは知らないのでコメントできません。

データの作成はSnさんにしていただきました。最序盤なので種吟味のための中断セーブを何度も行う面倒さはあるものの、時間的はそう多くはかからないため、最初に完成した問題となりました。